成熟

誰も悪くない
それはわかっている
本当に死にたいわけじゃない
それなのに殺してくれと絶叫することがある
どこから来る叫びなのかわからず涙する

愛する人がいる
その人も愛してくれる
線路沿いの家がある
玄関に小さいけれどギャベが置いてある
リビングには赤い宇宙のような絨毯が
それなのに息苦しくて捨て去ってしまいたくなる

野性なのか女性なのかそれとも闇なのか
不穏な渇望はきっと誰にでもある
問題はそんなことじゃない
私は、ただ自分がどうしようもなく不器用なことに耐えられない
成長が思春期で止まっていることに耐えられない
そんなことはいちども願わなかった
成熟したかった
今では誰も成熟させてはくれない
ゆっくりこの手と足と身体とで、
自分のリズムを掴み、出来る限り快いやり方で成熟するしかない