ザ・ローリング・ストーンズ×マーティン・スコセッシ「シャイン・ア・ライト」O.S.T.
2008年12月11日 音楽
何年か前のことだけど、身の回りに、音楽(バンド、とりわけロック)をやっている人たちが多くいて、精一杯かっこつけてる彼らのことをやっかんで、ある女友達が吐き捨てるように言ったのを思い出す。「いくら音楽やったって、現実には、日本じゃサザンオールスターズくらいしか食えてないんだよっ」
これはもしかたら眩しい友人たちへのやっかみであるばかりじゃなく、事実に近い現実をも言い表していたのかもしれない。私だって、嘘かまことか、「清志郎ですら食えてないらしい」とか凄い大御所が実は「金に汚い」とかよく聞かされたものだ。
近頃だって、贅沢の限りを尽くした小室哲哉が、いつの間にかまったく売れなくなって、詐欺でつかまってびっくりした。
音楽の世界における勝者が、どういう人たちのことなのかわからない。
しかし、ローリングストーンズを勝者と言わずして、誰を勝者と呼ぼうか。
ただし、曲の権利をすべて、ミックとキースが持っていることを考えれば、ストーンズというバンドの中にも、歴然とした格差があるようにも思えるのだが。
しかし、勝敗は生きることに比べれば、オプションのようなものだ。
ミックが、若さを保つ秘訣だの成功の秘訣を聞かれるたびに、きっぱり「その日何がやれるかしか考えない」と答えていたのが印象的だ。
夫がストーンズファンなので、封切られたその日に観に行った。
マーティン・スコセッシが、ストーンズのわがままぶりに困惑するシーンから、映画が転がり出す。
直前まで、一曲目に何をやるのか教えてこない。こっちは、カメラ数十台でスタンバッテるのに。なに、そのライトで二〇秒も照らすとミック・ジャガーが燃える?そりゃまずいだろ……なんて、色々言っているスコセッシが映る。
あくまで導入部だ。それに、すべては、演出なのだ。
ミック・ジャガーのうごきは完璧。シルエットだけ見れば、二〇代の頃とほとんど変わらない。生き様がダンス化している。もしくは、ダンスが生き様化している。もう意味不明。ダンサーって、年をとらないんじゃないかと思ってしまう。
キースは、演奏の方も、好き放題、ルーズになっているような気がする。
ストーンズの世界に入っていくことは、確かに強い光に照らされ、おなじエネルギーを持って照らし返すことだ。上機嫌な、成功した、したたかな、時に悪魔的で神学的な、依然としてよくわからないロックそのものにまきこまれることだ。最後のサティスファクションが何から何まですごかった。
マーティン・スコセッシのインタビューから、この映画全体の言い表しがたいテーマがちょっと垣間みられた。というのは、スコセッシが数多くとって来たマフィアとストーンズとの共通性について聞かれた時、両者とも「僕が目撃し、経験し、理解しようとしていたことと大きく関係して」おり、タフであり、エッジもあり、美しくて正直で残酷だと答えたことだ。多分それ以上は言葉にできないような素材なのに違いない。
一ヶ月前に見た、ルー・リードの『ベルリン』もおなじくらいよかったけどね。
これはもしかたら眩しい友人たちへのやっかみであるばかりじゃなく、事実に近い現実をも言い表していたのかもしれない。私だって、嘘かまことか、「清志郎ですら食えてないらしい」とか凄い大御所が実は「金に汚い」とかよく聞かされたものだ。
近頃だって、贅沢の限りを尽くした小室哲哉が、いつの間にかまったく売れなくなって、詐欺でつかまってびっくりした。
音楽の世界における勝者が、どういう人たちのことなのかわからない。
しかし、ローリングストーンズを勝者と言わずして、誰を勝者と呼ぼうか。
ただし、曲の権利をすべて、ミックとキースが持っていることを考えれば、ストーンズというバンドの中にも、歴然とした格差があるようにも思えるのだが。
しかし、勝敗は生きることに比べれば、オプションのようなものだ。
ミックが、若さを保つ秘訣だの成功の秘訣を聞かれるたびに、きっぱり「その日何がやれるかしか考えない」と答えていたのが印象的だ。
夫がストーンズファンなので、封切られたその日に観に行った。
マーティン・スコセッシが、ストーンズのわがままぶりに困惑するシーンから、映画が転がり出す。
直前まで、一曲目に何をやるのか教えてこない。こっちは、カメラ数十台でスタンバッテるのに。なに、そのライトで二〇秒も照らすとミック・ジャガーが燃える?そりゃまずいだろ……なんて、色々言っているスコセッシが映る。
あくまで導入部だ。それに、すべては、演出なのだ。
ミック・ジャガーのうごきは完璧。シルエットだけ見れば、二〇代の頃とほとんど変わらない。生き様がダンス化している。もしくは、ダンスが生き様化している。もう意味不明。ダンサーって、年をとらないんじゃないかと思ってしまう。
キースは、演奏の方も、好き放題、ルーズになっているような気がする。
ストーンズの世界に入っていくことは、確かに強い光に照らされ、おなじエネルギーを持って照らし返すことだ。上機嫌な、成功した、したたかな、時に悪魔的で神学的な、依然としてよくわからないロックそのものにまきこまれることだ。最後のサティスファクションが何から何まですごかった。
マーティン・スコセッシのインタビューから、この映画全体の言い表しがたいテーマがちょっと垣間みられた。というのは、スコセッシが数多くとって来たマフィアとストーンズとの共通性について聞かれた時、両者とも「僕が目撃し、経験し、理解しようとしていたことと大きく関係して」おり、タフであり、エッジもあり、美しくて正直で残酷だと答えたことだ。多分それ以上は言葉にできないような素材なのに違いない。
一ヶ月前に見た、ルー・リードの『ベルリン』もおなじくらいよかったけどね。
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