1928年に制作され、1997年に復元された、非常に美しく、非常に恐ろしい映画。
ルイス・ブニュエルが助監督。
シネフィルイマジカで放送されていたのを見たにすぎないけれど、呪われたフィルムのようで途中でやめられなかった。
その怖さは、他人の頭の中をのぞいているような不気味さ、本当に念写かなにかの形で露出してしまった誰かのヴィジョンを見せられている気味の悪さである。
言葉として「シニフェエなしのシニフィアン」という言い方があるけれど、この完成度の高い映画は、確かに、指示内容なしに成立する映像表現だと思う。しかし、物語である以上、何が起こったのか(行われたのか)把握できるはずなのに、この映画では本当に何が起こったのかがわからない。
だから隠されていることこそ本当におぞましいという感じで、このイメージを追っていったら……何が行われたのかという隠されていることのイメージを追っていったら、京極夏彦の『魍魎の匣(もうりょうのはこ)』みたいになるだろうなと思う。
映画になった『魍魎の匣(もうりょうのはこ)』は、去年のクリスマスイヴに見たのだが、つくづくクリスマスに見るような映画じゃなかったと見てから後悔したのだった。

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索