ライヴ

2008年12月29日 音楽
(元)職場友とライヴに行ってくる。私はビギナー、彼女は筋金入りのファンである。CDでは聞いていたけどライヴははじめてということで、その感動はやっぱり大きかった。音楽に関しては、「今」を生きていないと批判されても仕方ないほど古いものが好きで、特に邦楽にはあまりに無関心な時代が続いていたので、吉井和哉の日本の音楽史上の位置づけとかは全然わからないけれど、これほどダイレクトにセックスについて歌い、その深みとか暗さとか耐えられない軽さとかめくるめく美と卑猥を語れている人は少ないだろうと思う。セックスは秘匿されるべき否定性だ、それと同時に命を生む創造の最たるものだというアポリアが凄いい勢いでどうしようもなく音楽の中でグルーブし始めるのを感じる。
 それと同時に、創作に要しただろう緩やかな時の流れみたいなものを体験できるのが、ライヴというものだったなと思いだした。もともと一年の締めくくりみたいな意味合いのつよい催しらしいし。
 自分の身体に蓄積されている時間の流れ、といっても、最近仕事を辞めたなどの大事件ではなく、漠然と町歩きをするようになって知った距離感とか、何の目的もなくスタジオに入って交わしている音のやり取りとか、自分だけに与えられている使命とか、あとは緒形拳が生前に言っていた「巧さを追求して、最後は下手に行き着く。なぜなら、最後は思い一つで動くから」という言葉とか、ミシェル・セールがバレエのことを「場所を譲る芸術」と言っていて、結局人と人の関係はみな身体的なものであり、芸術が美しいのもそこのところなんだなと思ったことなどがその場で再び身体化されるのだった。
 もちろん、筋金入り友の方は、もっと細かく吉井和哉そのものを見ていて、今回は前回より、なにか相当「険しい」ものが表情にも選曲にもサービスにも現れていた、と言う。新しいアルバムを完成させたばかりじゃないかと言ったら、去年もそうだったそうだ。それじゃあその険しさとは何か? いつのまにか自分たちの話にすりかえつつ、寒さにも関わらず九段下近辺を十二時近くまで楽しくうろついた。
 
 

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