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夜中に起き出して、ミルクを温め、『なずな』を読む。
熱帯夜なのにもかかわらず、夜中に冷たいミルクを飲みたくなかった。
『なずな』読了。
堀江敏幸は、今、一番、読んでいて心地いい。
なんと言っても、眼差しが優しい。
『雪沼とその周辺』と『いつか王子駅で』は、本当に素晴らしかった。
『なずな』は、その二冊ほどの完成度はないかなと思う。
主題は、赤ん坊の成長だから、作品が最後に向かって凝結していくというより、ふわあっと広がっていく感じがする。作品のリズムだって、赤ん坊が眠って泣いてミルク飲んで排泄しておしめを変えるというサイクルが何度も繰り返されることによって、進行していくのだ。
完成度の高さとは関係なく、至福の小説だと思う。
ちょうど、『マイバックページ』とか『ブラックスワン』のような、敗北の物語を見た後だったから、それとは別の次元へと開かれた本が読めて良かった。
とはいえ、『マイバックページ』も『ブラックスワン』も愛おしく感じたし好きではあった。
「とくに昼間、喫茶店モードになっているときの《美津保》の空気は、適度に乾いて爽快になっている。以前は仕込みのにおいや湿気が店内のあちこちに沈んでいたのだが、幸いにもそれはなくなった。ただし、清潔さと店の魅力とはべつもので、じめっとしてその湿り気にいろんなにおいがとけ込んでいるここの雰囲気を、私は嫌いではなかった。むしろ好きだった。」p.133
このいろいろがとけ込んでいる雰囲気が、かのカレーピラフの美味しそうなことにつながっていくような気がする。
本当に久しぶりにここに書いている。
そろそろまた夜中の読書ノートが必要になってきたのかもしれない。
『なずな』の前は、井伏鱒二の『黒い雨』を読んでいた。
いっぱい書き留めておきたいことはあるような気がする。
熱帯夜なのにもかかわらず、夜中に冷たいミルクを飲みたくなかった。
『なずな』読了。
堀江敏幸は、今、一番、読んでいて心地いい。
なんと言っても、眼差しが優しい。
『雪沼とその周辺』と『いつか王子駅で』は、本当に素晴らしかった。
『なずな』は、その二冊ほどの完成度はないかなと思う。
主題は、赤ん坊の成長だから、作品が最後に向かって凝結していくというより、ふわあっと広がっていく感じがする。作品のリズムだって、赤ん坊が眠って泣いてミルク飲んで排泄しておしめを変えるというサイクルが何度も繰り返されることによって、進行していくのだ。
完成度の高さとは関係なく、至福の小説だと思う。
ちょうど、『マイバックページ』とか『ブラックスワン』のような、敗北の物語を見た後だったから、それとは別の次元へと開かれた本が読めて良かった。
とはいえ、『マイバックページ』も『ブラックスワン』も愛おしく感じたし好きではあった。
「とくに昼間、喫茶店モードになっているときの《美津保》の空気は、適度に乾いて爽快になっている。以前は仕込みのにおいや湿気が店内のあちこちに沈んでいたのだが、幸いにもそれはなくなった。ただし、清潔さと店の魅力とはべつもので、じめっとしてその湿り気にいろんなにおいがとけ込んでいるここの雰囲気を、私は嫌いではなかった。むしろ好きだった。」p.133
このいろいろがとけ込んでいる雰囲気が、かのカレーピラフの美味しそうなことにつながっていくような気がする。
本当に久しぶりにここに書いている。
そろそろまた夜中の読書ノートが必要になってきたのかもしれない。
『なずな』の前は、井伏鱒二の『黒い雨』を読んでいた。
いっぱい書き留めておきたいことはあるような気がする。
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